ルシールに関しては資料があまり見つからず、おまけにこのギターはボディトップに出力ジャックが増設されている。そのため現物を見て配線図を描いたが、Volポット周りがあまりに密集しているので、今回は配線を調べつつブレイデッドワイヤーを変更できそうな箇所は交換していく。最終的には前後どちらかのピックアップの位相を変更する。(または配線を入れ替えて正位相の57 Classicに組み替える。もしくはSeymour Duncanの4芯+1COLDのものに変えた方が楽かも)
Volポットあたりと、ボディトップの出力ジャックへ向かう配線がいまいちよくわからない。ここのポットは交換したくてもこのままでは交換ができない。
※配線図のポットの値は実測値
一度に全部外すのはわからなくなりそうなので、まずはVolポット3番に入っている線から外してみる。
Lucilleの配線交換:前半
Volポット3番のHOT線はボディトップ出力ジャック(MONO)へ向かっているので、ここを外す。
3箇所ある出力ジャックから全てここのHOT端子に来ているので黒いゴムチューブが束になっていたわけだ。ボディトップ出力ジャック(MONO)には、3本のHOT線と1本のCOLD線を付けてボディに戻す。
次はフロント出力ジャック(MONO)を外す。
ボディトップ出力ジャック(MONO)からのHOT線を接続。COLD線を1本取付て戻す。
今度はリア出力ジャック(ステレオ)
リアTONEポットも外した方が作業しやすいので外して抵抗値を測定。650K。そんな容量のポットがあるのか?…。フロントTONEポットは500K。値がだいぶ違う。
リアVOLポットも測ってみるとこちらは300Kポット(もしくは350Kポット)らしい。VOLとTONE、ポットの容量が違うものを使っていたとは…
TONEポット背にフロント出力ジャック(MONO)からのCOLD線を接続
ここだけジャックが違うのかボディの厚みが違うのかギザワッシャーが挟まっていなかった。
フロントVOLポット。287K。やはり仕様としては300Kポットか
リアVOLポット3番と、リア出力ジャック(ステレオ)のHOT線を接続
リア出力ジャック(ステレオ)のCOLD線をリアVOLポットの背に
ボディトップ出力ジャック(MONO)とフロント出力ジャック(MONO)のCOLD線を仮にフロントTONEポットの背に繋いで一旦終了。これでリアの配線がだいぶ簡略化された(元の写真と比べるとよく分かる)
Lucilleの配線交換:後半
音出しで問題は無かったので次回はVARITONEのロータリースイッチからのフロント側のラインを外してみる。
GoldカラーのSwitchcraft製トグルスイッチ。ラインをベルデンに交換した
スイッチも取り外して上記の配線図通りに繋げてみると問題なかった。ピックアップからのラインは熱収縮チューブで見えないがブレイデッドワイヤーからベルデン8503に繋ぎ直して白黒ラインにしてからVaritoneロータリースイッチに接続している。ブレイデッドワイヤーのまま接続するとポットにCOLD線を落とさないとならない、そうするとポットの交換がいちいち面倒なのでこうした。
フロントTONEポットにアースしている茶色のリード線はVaritone用チョークコイルから来ているCOLD線。ここに落とさなくても良い気がするが元がここに繋がっていたのでのままにしている。
Toneポットも次回交換予定だがcapacitorだけは先に交換。Spragueのやや古いコンデンサはとりあえず1つしかないので715Pの同タイプの新しいものをリアTONEには使っている。
ジャック周りのリード線はほぼベルデン8503に変わった。これだけでも多少音が明るくなるはず。
テスターでチェックするとフロントピックアップの直流抵抗値が3.8Kほどと半分になっていた。各部見直して問題がない。かなり色々チェックした結果、リア出力ジャック(ステレオ)の端子がジャックを入れない時にもジャックが挿さった状態になっていた。戻りが悪くなっていたようだ。そのせいで常にリアがONになっている状態になり、スイッチでフロントを選んでもハーフ出力となり抵抗値が半分になっていた。
ブレイデッドワイヤーを外してすっきりしたフロント、リアのVolポットを交換してみる。純正ポットはフロント、リアどちらも280K前後の値だった。オリジナルのVaritone配線図(Stereo & Mono)をネットで見たがポットはすべて”Audio 500K”となっていたのでCTS A500Kに交換。劇的な変化ではないがこれでもう1段階高域が出てきた。
整理されていないのでリード線がゴチャゴチャしているが、Varitone周りのラインがどこへ向かってどこから来ているのかが目視出来るようになった。配線図の正誤確認もできた。Varitoneロータリースイッチに接続したピックアップからのラインは接続箇所も小さく面倒なので今後も外したくない感じ。見た目はともかくとして、どのポットや配線も容易に交換可能になった。
ピックアップからの配線は長さが足りなかったのもあるがVaritoneロータリースイッチの手前でベルデン 8503を繋ぎ、スイッチに配線した。
すべてベルデン 8503で繋いだが少しノイズが多いようなので簡単に置き換え出来る箇所を2芯のシールド線を使用した。これでコントロールキャビティ内はさらにすっきりとした。
capacitorは0.022μF/600Vに変更。気休めでパネル裏にアルミシートを貼る。
※ロータリースイッチ部分はできるだけ変更しないほうが良い。(半田しにくい)※Rear Outputジャックの可動する端子がやや戻りにくくなっている。ここが綺麗に戻ってくれないとフロントにした時にもハーフトーンになってしまうので注意が必要。
57 Classic(Front)の位相を逆にする
カバーを外し、紙テープを1周分剥がし、左右のボビンを固定している小ネジを外した。ベースプレートに半田付けされているCOLD線の始まりがなかなか見つからずかなりバラバラになった。正位相になったのを確認して元に戻した。
Lucilleパーツ取り付け:Bigsby B7 Gold
ノーマルでも重いのにさらに220gくらい重くなる
Vibrolar取り付けの穴が4箇所あるがこちらは埋めた
ヴァイブローラ取り付けの穴痕は、Bigsbyを付けても微妙に見えてしまう
タコ糸でおおよその位置決め
大きめのネジ2本でTop面の固定、小さめのネジ4本でエンド部の固定。テールピースのスタッド穴に以前買ったCustom Madeのプレートを両面テープ(粘着力弱いもの)で貼る。
豪華さがさらにアップしたLucille。最終的な重量は4.64kgに。
それなりにアングルがついていて弦のテンション感は問題ない。弦を張れば元のヴァイブローラ取り付け穴痕もほぼ目立たない
Lucilleピックアップ交換:57 ClassicからGibson Calibrated T-Type
Lucilleのオリジナルは、490Rと490Tなのだが、このLucilleは57 Classicに変更されていた。57 ClassicがLucilleのVaritone回路を通った音はいまひとつ抜けない音に変化してしまっているようで、490に戻してみることも考えたが、Calibrated T-Typeと言うピックアップを入手したのでこちらに交換。
このCalibrated T-Typeは、2019年までGibson Memphisで作られてたMHS IIと同じものらしい。
MEMO:メンフィスでES-335のヒストリックシリーズが作られるようになった2014年頃から作られ始めたピックアップがMHS(メンフィス・ヒストリック・スペック)。MHSは、フロントがアルニコ3、リアはアルニコ2。AWG42エナメルワイヤーを前後ボビンで巻き数を不均一な感じに変え、ワックスに漬けない(蝋漬けしない)構造。おそらく2014年〜2018年まで製造。 ※この辺の構造や歴史などに関する細かい解説はGibson公式に書いてある。https://gibson.jp/news-events/6256
MEMO:MHSの後継がMHS IIで、2019年頃から前後ともアルニコ5に変更して製造。2019年メンフィスファクトリー閉鎖で以降はナッシュビル製造となり名称がCalibrated T-Typeにしたと思われるが正確なところは不明。なんとなく想像だが、カスタム的なメンフィス製MHSから、MHS II(Calibrated T-Type)はアルニコ5にしてレギュラーモデル的な扱いにしてCustombuckerを名乗るピックアップとは別扱いにしたのではという気がするがさてどうだろう?もしくは蝋漬けしてないBurstbucker Proみたいな感じか?
せっかく綺麗な『Cal Type T』というシールが貼ってあるので、一度ソルベントで剥がしてからゴールドパーツへの加工をする。フロント 7.4K、リア 7.8K
57 Classicのフロント、位相を逆にしてあるのを覚えているうちに元に戻す。ねじポールピース側の下にある接続を外して、ソリッドスラッグ側の下でベースプレートに半田付けしてある箇所を外して、効果の意味がわからなかった57 Classicのフロントの位相を元に戻す。一度やっているので元に戻すのは割と楽だった。
1.Cal Type Tピックアップはボビンの周りのテープが一周ぐるりとは巻かれていない。カバーとボビンの間にワックスはまったく付着していない。 2.57 Classicは前回の工作でPAFシールが完全に剥がれてしまっているので油性ペンで書いておく 3.ポールピース、カバーを入れ替えた後にCal Type Tシールを元に戻す。 4〜6 Calibrated T-Type、57 Classicそれぞれの入れ替えが完了。
Lucilleパーツ交換:PotentionmeterをBare Knuckleの550Kに変更
近年のGibson流でポットを550Kに変えてみることに。サウンドハウスにあった Bare Knuckle Pickups CTS 550K POTS Short Shaft 20% Medium Taperという長い製品名の品を買ってみる。4つ購入して抵抗値を測ってみると最大541Kで低い方は508K。CTS 500Kを選別して売っているだけかと思ったら刻印にもちゃんと550KとなっているのでBare Knuckle Pickupsが別注しているのだろう。しかし、さすがCTS製、日本製だとこうバラバラにはならないはず。541KのものをフロントVolに使ってみる。
CTS 541Kの代わりに外したCTS 500は測定値が479K。その差は62K。この程度だと違いはほととんど分からなかった。
キャビティの上奥の方、熱収縮チューブの白黒リード線の箇所でGibson Calibrated T-Typeピックアップと接続しVaritone回路に直に半田しないようにしている(半田し難いので)。57 Classicより少し抜けが良くなった。MHSよりはややスッキリとした線が細い印象(Varitone回路を通っているせいかもしれない)。
[…] Gibson BB King Lucille (1995 cherry red) ver.2 ルシールのVaritone配線を調べる、配線を… […]