メイプルネックに(素人後塗り)ブラックボディのマスタング’77のジャンク品。ネック、ペグ、ボディ、ピックアップ、ビブラートユニット、プレート類、スイッチなど各パーツはオリジナルだが、止めネジ類はほぼすべて変なサイズの適当な形のネジが使われている。フレットは減りまくり。限りなくジャンクに近いが肝心なパーツのオリジナル度は高い。重量は3.4kg。
ムスタングの内部
ピックアップ〜スイッチ、Volumeポットまではオリジナルのままの配線。ポット類、ジャックは日本製のようなミリものに交換されている。ダイレクトロンのコンデンサーはオリジナル。スイッチ部はグラグラ。ネジがちゃんと止まっていない。その原因は止めネジがやや大きいサイズのものを使っていてネジ穴がバカになっているためだった。1つはそのまま利用が難しい。(そもそもネジが抜けなくて困った)配線はアースがどこかで外れているようで音が出たり出なかったり(おそらくスイッチ)、雑音入ったり(ブリッジからのアースの接触不良)。何度か塗り替えをしたらしい汚いボディ。
ピックアップは前後ともオリジナルで直流抵抗値は5.75Kと5.85K。カバーはオリジナルかどうか不明。抵抗値測るとキチンとしているし、アースを取ってスイッチを固定するとちゃんと音が出ているので問題なさそう。ピックガードはFenderシリアルのシール跡があるのでオリジナルと思われる。
フレットは全体に減り過ぎている上に低音側がエクボと言うよりガタガタに削れててるのでこれは即交換。ナットも酷い状態で付いていたので外してタスクの古いもの(見た目が合いそう)と交換。交換中はFender Japan製2015年頃のネックを借りてきて取り付け。
古いストラトについていた変色したタスク製ナットを利用した。フレット交換後のネック。フレットは三晃製 214(W2.4mm / H1.2mm)ミディアムタイプを使用。
メイプルのワンピース。ネックやや薄くなったFマーク入りネックプレート下にはクッションプレートが入っている。PAT.ナンバーや、Contourマークなどデカールが減っているヘッド。
ムスタングの配線
普通のムスタング配線を選択。ヴィンテージ配線だと付けないポット間のアース線は付けておいた。
シールド用の真鍮板は接続部分で断線していたので一度外して付け直し。ブリッジからの弦アースのワイヤーはダイナミックビブラート下のネジあたりからピックアップキャビティに貫通穴を開けて引いた。(2枚目写真)スイッチ部のボロボロのスポンジを撤去。代わりに絶縁テープを貼っておく。(3枚目写真)WEの70年代クロスワイヤー(AWG22)を各部分に使用。コントールキャビティへの接続線や弦アース用のビブラートからの配線など可動する箇所にはベルデン8503を使用。
この時期のピックアップのワイヤー(白色・黒、水色・黄色)は非常に硬いものが使われている。スイッチは新しいSwitchcraftのものに交換。60年代のダイレクトロン 0.05μF/50VがついているA250Kポットがあったのでそのまま流用する。(’77年のものは0.05μFで耐圧が100V。そのうち純正に戻す)
西ドイツ製の表記のあるSchaller Fキーペグ。ボディの赤い部分は塗装を落とした。(なぜピックガード下だけ黒で後塗りしなかったのだろう…)
ムスタングの調整
シムはポケットに3枚。
70年代フェンダーのくせにポケットに隙間なくキッチリとネックが収まる。
錆びてカラカラに乾いていたのでスプリングの固定箇所、テールピース固定のネジ(ナイフエッジ部)にはグリスをかなり馴染ませた。テールピースはこれくらいの高さで調整。シム3枚入れてブリッジがこの程度の高すぎず低すぎないレベルに。1弦、6弦サドルの下に0.5mmのアルミ板を敷いて高さを調整。
サドルはこのギターについてたものは近年のものでピカピカしていて合わないので60年代のサドルに交換。ブリッジは近年の日本製なので高さ調整には1.5mmのレンチを使用。
66年ヴィンテージMustangとの比較
’66年 MustangのダイナミックビブラートプレートはFenderロゴの書体がやや違う。エンボスの彫りも深いのではっきりとしている。鉄板の質感(メッキの質感)も’77年 Mustangとはかなり違う。固定ネジ類は似ているものをチョイスして全て交換した。この’66年MustangはJazzmasterやJaguarに使われるサドルが付いている。
ピックアップは’66年が5.4〜5.46K、’77が年5.47〜5.51Kと、出力抵抗値はほとんど変わらない。’77年 Mustangは今回キッチリ250K出ているポットをVol、Tone両方に使用している。’66年 Mustangは、ポットの抵抗値がやや落ちている(230K程度)せいなのか’77年 Mustangと比べると出音はやや小さい。Fender Japan製のローズ指板ネックで試すと’66年 Mustang的なやや柔らかい音を出すが、メイプル指板の’77年メイプルネックではカラッとしたベルサウンドで独特な悪くない音になる。
’77 Mustang ペグとピックガードの交換
amazonで並んでいるMusiclily アメリカ製ムスタング用ピックガードを買ってみたらネジ穴が12個全てピッタリ合っていたので交換してみた。パーチメントパール、パーチメント2種類買っておいた。ビブラート、コントロールプレート側は少し隙間が開くように削った。
’77年に付いてきたペグがやや回りが良くないので、Fender Japan製ムスタングのどれかのモデルに付いていた白プラボタンのFキーペグにちょっと交換してみた。’66年のペグとは似ているんだが微妙に各部の形状が違う。
’70sらしく黒ピックガード、メタルボタンペグに戻した。
capacitorも’77オリジナルのダイレクトロンに戻した。
ピックアップがこれ以上上がらないのでシムをへらしてサドル高を下げた。
ムスタング用ハードケースにストラトは入らないこともない
Fender製Mustang用ケースにStratoを入れてみた。ほんの少し、下側手前がはみ出るが強引に入れるとなんとか入る。テレキャスはまったく無理だった。ケースの外寸を測ってみると同年代のストラト/テレ用ケースより短辺側が2cm短い模様。長辺方向はムスタングだとピッタリ、ストラトだと少し余る。
’73 Mustangネックの取り付け
こちらの方がムスタングの音のイメージなようだ。シムは’77ネックと同様に2枚入り。ペグはFender Japanについていたもの。ピックアップカバーをLollarのアイボリーのものに変更。
[…] ’77 Mustangは↓https://do9scrapbook.com/2023/12/21/fender-mustang-1977/ […]