1967年ものの板目のメイプルボディに各種パーツを組み込んだもの。入手時現行品と思われるパーツがいくつか付属してきた。利用したのはFilter Tronピックアップ x 2(7.4Kくらいの直流抵抗値)、Gretsch Bigsby B3、ストラップピン。電装品はいっさい無かった。17″ボディ、Scaleは24.6″(625mm)、厚みは2″(公式には2インチだが実測49.8mm程度)。

ミュートの機構は一部パーツが欠品している。ミュートのシステム、当時のGretschの広告では、下記のような宣伝文で「マフラー」と表現されている
BUILT-IN MUFFLER
A felt muffler placed between the bridge and pickup allows you to “muffle” your strings at the touch of a switch.

バインディングはきめ細かく割れているのを接着剤でがんばって修復されていた。グレッチのバインディング恐るべし。ボディ周りのバインディングは普通のヴィンテージ的な程度なので交換されていると思われる。メイプルネックで指板はエボニーといった仕様。全体に素人オーバーラッカーが適当にされている。



パーツの取り付け
ペグ
弦を張るために組み立ててみる。ペグ穴を拡張せずネジ穴もそのまま利用するのに手持ちの中ではゴールドのGrover 102Gがちょうど良かった。ロッドカバーは現行ものはネジ穴位置が違うので合わず、0.5mm黒と1mmアクリル板を貼り合わせて製作。



Bigsby
Bigsbyを普通に取り付けるとどうしても1弦側に寄ってしまう。ボディ下部が少し歪んでいるようだ。センターの穴はそのままにして、左右の穴を埋め、取り付け金具の左側に1mmのビニール板を挟んで調整して新たに2箇所ネジ穴を開けた。忘れずにGnd.線も仕込んだ。(写真撮り忘れ)

ブリッジ
Bigsby取り付けて、ブリッジを置き凧糸で雰囲気を見たら弦高が相当高いことが判明。ボディが膨らんでいるか、ネックが起きているのか。どうやらGretschヴィンテージに多いネックの元起きのようだ。まあ素人だとこれはどうしようもない。
現行のものと思われるバーブリッジ+木台は、そのままでは弦高が高過ぎる。出来る対策としてまずは木台をかなり削って低くした。まだいまひとつボディにフィットしていないので底面をもう少し加工が必要。あとBigsbyの取り付け位置をもう少し下げるとなんとかなりそう。

ミュート(Muffler)のところにはウレタンを貼る。(写真のものだと厚すぎたので薄いものにのちに交換)とりあえず動かないように内部のネジを締めて動かないように固定していたが、ちょうど良い『棒』が見つかった。ナット用のファイルの束から一番太いものを使ったら長さも戻る強さもネジ固定できる形状も何もかも丁度良かった。ヘタっているフェルトに一枚被せてある。次回バラせる時に可動パーツを外してキチンと糊付けをする。



配線
生音でおおよそ弾ける感じになったので配線工程へ。スイッチ、ポットの取り出しには凧糸を使ったが上の位置でも腕を深く入れるとギリギリ指先が届く。裏がバックリと開いていると配線はとてもイージーだ。フィルタートロンは前後とも7.4K。(現行のものは4K前後らしい)ピックアップ交換時にはバックパネルから各ポットが取り出せる。
※シールド線は景気良く使ったので足りなくなり、次回外す際にはMaster Toneポットとジャックをセットで外さないといけない。次回はTone→ジャック間もシールド線に置き換える。
1芯のシールド線はMOGAMI2330。クロスワイヤーより1mmほど太い3mm径だが柔らかく剥き易いので作業が楽。CTS A500Kを4個を他のギターから持ってきた。2個がノーマルシャフト、2個はロングシャフト。ロングシャフトは3ウェイスイッチとマスタートーンに使用。






マウントリングはTV Jones ユニバーサルマウント用なのでピックアップ昇降ネジ穴が開いている。

コントロールはオリジナルが幸い全部無かったので、プリセットトーンではなく現代風にトーンがコントロールできる仕様にする。左上を3ウェイトグルでピックアップ切り替え、その下はダミーに。右上 マスターVol。下側コントールは、フロントVol、リアVol、スタンバイスイッチの場所にマスターTone。

Country Gentleman 欠品パーツの入手、製作、取り付け、交換、補修
ピックガード
ピックガードは無いと弾きにくいのでどのモデル用だか不明のものを入手。売主が定規をあてた写真を掲載していたのをおおよその目安にして購入。ネジ穴位置はピタリと合った。リアのピックアップ位置だけ1cmほど削る。ブラケットはSCUD製。ブラケット取り付け位置は旧穴を使えずやむを得ず新たに穴を開けた。ロッドカバーを作った白1mmアクリル板の残りで裏蓋を製作。GretschノブはAliexpressで買った偽物(4個で約¥1,400)。すごい金色だったのでコンパウンドで少し金色を弱くしている。




5122との比較
6112(3.4kg)のボディ厚は50mm、5112(3.75kg)のボディ厚は56.6mm。Scaleは5122の25.5″(648mm)に対してこの6122は、24.6″(625mm)





ペグ
オリジナルをつけるかもしれないのでヘッドの穴は拡張したりせずオリジナルのままにしてGrover 102を取り付けていたが、150G(インペリアル)を入手したので取り付け。グレッチ用の取り付けネジ間隔の広いタイプ。Chromeタイプ(150C)とは取り付け穴上側の形状が異っている。ペグポストの径が7.6mmと他のペグより1mm以上太いのでブッシュも大きい。ヘッドの印象がかなり変わった。




ブリッジ
このCountry Gentleman 6122では、弦高12フレットで2mm強程度にすると弦のテンションが非常に弱い。(ネックの元起きのため)ブリッジを色々試す。バーブリッジより弦を受ける箇所が点に近いGOTOH GE104Bの方が音の締まりが中でも一番良い。5122に使って良い印象だったローラーブリッジ(中国製)は弦を受ける部分の幅がやや広く、スチール弦(特に1弦)の弦テンションが逃げやすくこの6122には向いていない。サドルのサムナットが回しにくいので16mm径のものに交換。




バインディングの補修
ボディ側のバインディングの浮いてきた箇所がどこかに引っかかり割れてしまった。割れた箇所の上側も浮いて来ているのでそちらも接着。



Gretsch 参考ページ
Gretsch Country Gentleman 参考ページ。当時の広告など資料も豊富。
https://www.vintageguitarandbass.com/gretsch/Country_Gentleman.php
フレット交換
ほぼフレットレスのように減っていたフレットの交換。Jescar 55090(幅2.28x高1.4mm)。ゼロフレットには少し背の高い57110(幅2.79x高1.45mm)が3本余っていたのでそれを使用。




Gretsch用スイッチの取り付け
汎用品3ウェイスッチを取り付けていたがやっとGretsch用の3ウェイスイッチを入手できたので取り付け。on-on-onが2個、トーンコントロール用のon-off-onスイッチが1個。こちらは今回は配線はしない。




ピックアップの交換
ピックアップの止めネジ。P90用でSCUDのものは頭の背が高い。Allpartsのものは頭が平だが頭の径がややデカくネジ長さが少し長い。




ヴィンテージのSuper Tronの取り付け。取り付け前にカバーが割れているのでハンダ付けする。ブレードは引き抜くだけで簡単に抜けた。カバーを外した後は気をつけないと簡単にバラバラになる。現行モデルはベースプレートとボビンはネジ止めされているがこのピックアップはそれがない。Filter Tronより2mmくらい背が高いので取り付け場所を少し高さ調整










Super Tronのシールドケーブルを繋ぎ直す。もう一度バラして組み直し。マグネットの磁力が弱っているのかパワー感がないのでアルニコ2マグネットに替えてみたが音質、パワー感などそれほど変わらなかった。






Filter Tronは直流抵抗値が約8Kのタイプと約4Kのタイプのものがある。4Kタイプを入手したので交換してみる。4Kのタイプはポールピースの頭の形状が違うのと裏側の飛び出し量が多い。またカバーのが厚みがやや薄く安っぽい感触。(見た目は特に変わらない)4Kの方がパワー感(歪み)が無い悪くはない音色でヴィンテージっぽい。TVJ Classicほどの音の伸びやキラキラ感は無い。




TV JonesのBrian Setzer Signatureをフロントに取り付け。直流抵抗値は4.5K。ユニバーサルマウントなのでパーツが色々入っている。ピックアップマウントネジはマイナスのものが付属。(とりあえず付けたり外したりは+のが便利なので使っていない)カバーに単純に左側だけにTV Jonesと入っている他のモデルよりブライアンセッツァーモデルの方がいろいろ文字が入っていて見た感じが良い。金色が純正よりやや濃い色味。





